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第10回 平成19年年頭のあいさつ(平成19年1月4日)
 あけましておめでとうございます。
 新しい年を迎え、お客さまや株主の皆様のご多幸をお祈りしましょう。当行の皆さんやご家族の方々にとっても今年が良い年でありますよう。

 この一年も厳しい一年でした。一昨年が企業の在り方、即ち、企業は儲けさえすれば何をしても良いのか、が問われた年であったとすると、昨年は、我々の属する金融業界では特に、企業がきちんとお客さまの方を向いて活動しているかどうかが問われました。

 先日、ある金融機関の経営者の方とお話する機会がありました。この方は以前は自動車メーカーの役員をしておられたのが金融機関に移られたのですが、その方は、「金融業界のお客さま対応は、自動車業界に比べると何十年か遅れているのではないでしょうか。今やっと零からスタートしようとしているように見えます。」と言っておられました。
 今世界的に高い品質を評価されている日本の自動車にも、走行中に部品が破損したりしてお客さまからの苦情が噴出する時期があり、何百という部品の一つ一つを少しずつ少しずつ改良する努力、お客さまを念頭に置いての血の滲む努力が繰り返されて今日に至ったと言っておられました。
 自動車業界も、それはそれでいろいろ問題を抱えていないわけではないでしょうが、お客さまを向いた姿勢には、教えられるものがあるのではないかと思います。

 自動車の話をしたついでに、人間の「進化」の歴史の中で、猿が木から降りて二本の足で歩くようになったことが、今日の人間に至る道程(みちのり)での極めて重要な転換点だったということは、我々中学校か高校で教えられたことですが、私には、自動車の普及は、今から何万年か後になって振り返ったとき、人類にとってそれと同じくらいに重要な転換点になっているのではないかと思うことがあります。変化の一つとして先ず私達が二足歩行をしなくなった、座ることを好むようになった、ということがあります。電車の床にベタッと座っている高校生も、あるいは先端的な人類そのものなのかも知れません。
 そして、日々の生活が次第にヴァーチャルなものになってきていることも、大きな変化の一つでしょう。生活のヴァーチャル化は色々な面で起きていますが、その中で自動車も、運転者は自分が高速で走っているように錯覚しますが、実際走っているのは自動車で、窓外の風景が変化していくのも、テレビの画面が変っていくのを見ているのと本質的に違いはないように思えます。自動車の普及に伴って、ヴァーチャルな世界が人々により親近性を持つものになったように思えます。
 何百年か後、何十億という世界の人間が皆床にベタッと座って携帯電話と睨めっこしている、というのが私の今年の初夢です。

 さて、話が幾分逸れましたが、今年の課題に移りましょう。今年の課題については、私の頭の中では、冒頭に述べたお客さま重視が第一ですが、その他に、法令等の遵守、収益力の強化、不良債権問題の終結の三つ、合わせて四項目があります。
 先ず不良債権の話ですが、不良債権については、当行は十分な貸倒引当金を積む一方で、債権そのものは帳簿上に残しておく、いわゆる両建処理の方法をとっています。このため当行の表面上の不良債権比率は他の金融機関と比べて必ずしも低くはありませんが、貸倒引当金を差し引いた、私共の言う「実質」の不良債権比率では、極めて低い全国でも優良銀行の部類に属することについては、大方のご理解を得ていると思います。
 このような両建方式をとるのは、経営の悪化した企業でも、当行の永いお取引先であり、再生の可能性が見出せるのであれば、一緒にそのための努力をしていこうという思いがあるからです。しかし、表面上の不良債権比率も、高いままでいつ迄もというのは辛いことです。平成十五年の九月期で抜本的な両建処理を行って既に三年以上が経過しています。回収困難な私共の債権が残っているお客さまに、そろそろ最終的な今後の方向を決めていただいてもよい時期ではないかと思います。今年は、お客さまとご相談しながら、表面上の不良債権比率も下げるよう努力し、不良債権問題を名目上も終結させたいと思います。

 次に収益力の強化については、前九月期、その前の前三月期の決算を通じ、主要行を中心に銀行の儲け過ぎということが言われていますが、増益要因の殆どは、不良債権処理の必要性が少なくなってきたことに伴う貸倒引当金の戻し入れ等によるものであり、主要行と言えども、本来の業務による貸出金利息収入等の収益が十分なわけではありません。
 そのような中で当行では、この一年、例えば貸出金について、ボリュームで見て佐賀・長崎地区での落ち込みがかなり解消する一方、福岡地区では相当の伸びが見られるようになっています。皆さんの日々の努力の成果が出て来つつあると思います。これからの一年も、全員で仕事を分担し合い、また一人一人がその能力を十二分に発揮することによって、当行全体で更なる成果をあげていきましょう。
 今年から新たな中期経営計画もスタートします。計画自体は未だ策定中ですが、収益力の強化策については計画策定作業の中で議論を深めるとともに、そのスタート後は、それを着実に実現していきたいと思います。

 法令等遵守については、未だ十分と言えないことは、昨年発生した事案からも明らかです。遵守に関し色々な仕組みを作って来ていますが、遵守について私達の意識が徹底しているかどうか、うっかりミス一つでも許されなくなってきていることにお互い気を引き締め合って、今年こそ問題事案を発生させないようにしましょう。

 以上、昨年一年なお反省すべき点は少なくありませんでしたが、一方で着実に然るべき成果をあげてきていることも事実です。中には地中に根を張るような仕事で表に出ていない成果もあります。
 今後どの金融機関ともお客さま指向を漸次強めていくことになるでしょう。早くその必要性を認識し、早くお客さまの間に根を張り、早くお客さまの心の中に入り込んでいかなければなりません。そしてそのためには、我々一人一人が、御座なりではなく、本当に、心の底から、お客さまのことを「想う」ことです。お客さまの全てのご要望に今直ちにお応えすることはむずかしいことですが、私達のお客さまを想う想いが強ければ、そして私達が一生懸命努力していれば、その想い、その努力は通じるはずです。そしていずれは、「佐賀銀行さん」、「さぎんさん」と「さん」付けで呼ばれるようになるでしょう。

 さあ、お客さまのことを想いながら、店のシャッターをあげて下さい。

 
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