令和5年年頭のあいさつ

令和5年の年頭にあたって

 あけましておめでとうございます。年の始めにあたり、皆さんと共にお客さまの繁栄を祈念したいと思います。また、ご家族の方々も含め、皆さんにとっても飛躍の1年となるようお祈りいたします。

 昨年も、引き続き新型コロナウイルス感染症は拡大・沈静を繰り返しましたが、国外からの入国者に対する水際措置の緩和や全国旅行支援の再開など、感染対策に取り組みながら経済活動も徐々に正常に戻りつつあります。私たちの地元である北部九州においても、西九州新幹線武雄温泉駅―長崎駅間が開業するなど、地域のにぎわいに繋がる明るい話題がありました。一方で、コロナ禍による供給制約の継続やウクライナ情勢の緊迫化などを背景に、円安・物価高の進行に拍車がかかりました。さらに年末には、日本銀行が長期金利の許容変動幅を引き上げたことで市場金利も上昇するなど、長らく続いてきた低金利環境は転換期を迎えつつあります。既にお客さまの事業や家計に影響を与えている中、本年はゼロゼロ融資の返済も本格化します。地域銀行として、引き続きお客さまの悩みに親身に寄り添い、共にこの難しい局面を乗り越えていきましょう。

 また、北京冬季オリンピックやサッカーワールドカップといった世界的なスポーツイベントも開催されました。サッカーワールドカップでは、アルゼンチンが36年ぶりに優勝を果たしました。強烈な「個」の力を持つメッシ選手が注目されましたが、決してメッシ選手頼みではなく、次世代を担う若い選手たちの力を上手く引き出し、優勝に繋がりました。格上のチームに勝利した日本代表も同様、若手の躍動とベテランの経験が上手く融合し、個々の能力を上回るチームワークを発揮できた結果ではないでしょうか。私たちもフィールドは違いますが、"地域の発展なくして、当行グループの発展なし"という地域銀行グループの使命を果たすため、グループ一体となり、若手層からキャリア層、シニア層が融合し、チームワークを最大限発揮して取り組んでいきましょう。

 さて、2022年4月からスタートした第17次中期経営計画は、本年4月より2年目を迎えます。「このまちで、あなたと... 金融の枠を超えて地域の価値向上を実現する銀行グループ」を目指す姿として掲げ、お客さま・地域にとって何でも"役に立つ"存在となり、最終的には佐賀銀行グループ全体がコンサルファームとなることを目指して取り組んでいます。ブロック制を軸としたコンサルティング機能の充実や行内DXなど、その取り組みは確実に結果に繋がっており、私たちの目指す方向性は間違いなかったと確信しています。本年は、コンサルファームの実現のため、更にその歩みを加速させる年です。そのために、あらたに次の2つのことについて述べたいと思います。

 1つ目は、店舗の運営方法の変革「スマートオペレーション」への取り組みです。
 当行の店頭態勢は、永きに亘り、受付から返却までの一連の流れを窓口担当者が処理する「一線完結処理」を行ってきました。これまでの態勢は、ややもすると大量の来店事務処理への対応を重視し、窓口業務の効率化・迅速化を優先したものだったかもしれません。今後はさらに、キャッシュレスやデジタル化の進展により来店客数が減少していくことや、生産性向上への取り組みにより事務量も減少していく中で、店舗の運営方法を、"営業の窓口"としてお客さま満足度向上・コンサルティング重視のための態勢に変革することが必要です。そのために、
 ①お客さまのニーズや情報を積極的に収集する「ロビー営業」
 ②窓口担当者は受付に専念し営業担当者がお客さまの待ち時間に対話や提案を行う「要件別分業制」
 ③後方事務の本部集中化で実現する「事務は事務センター」
の3つの態勢を確立します。現在一部店舗で試行を始めており、今後全店に展開し、お客さまのニーズに適時的確に応えていく態勢を構築していきます。
 2つ目は、地域のデジタル分野をリードする「デジタルバンク」の実現です。
 これまで、DX・デジタル化戦略全般について当行の方向性を考察してきましたが、その参考とするべく、昨年10月に韓国の新韓銀行を視察しました。韓国は世界的に見てもデジタル分野で先行していますが、その韓国にあって、新韓銀行はデジタル分野で頭1つ抜き出た存在です。視察を通じて、DX戦略における当行の現在の取り組みに間違いないと再認識するとともに、新韓銀行では現在私たちが構想しているマイページなどの世界が既に実現されており、当行における行外DX分野への取り組みを更に加速させる必要があると感じました。
 先ほど述べた店頭態勢の変革をはじめお客さまへのコンサルティング営業は、お客さまと行員との信頼関係で成り立つ"人ならでは"の業務です。当行が目指す「デジタルバンク」とは、"人ならでは"を大切にしながら、「"人ならでは"以外は、ALL Digitalで対応するデジタル地銀となる」というものです。そのビジョンを推し進めるにあたり、基軸となる考え方は、
 ①マスリテール層のお客さまへの対応や基本的な金融取引は100%デジタル化する。
 ②当行とお取引のない個人のお客さまは100%デジタルで誘引する。
 ③地域の事業者さまや個人のお客さまのデジタル化を支援する。
 ④地域のキャッシュレス・ペイメントのデジタル化に貢献する。
の4つです。このような考えのもと、行外のデジタル化に本格的に取り組み、地域・お客さまの利便性と付加価値を向上させることを目指す決意を、「佐賀銀行デジタルバンク宣言」として表明したいと考えています。

 本年は、「スマートオペレーション」、「デジタルバンク」の実現をテーマとして加えてコンサルファームを目指します。"人ならでは"と"デジタル"を組み合わせ、お客さまや地域社会に対して、より便利で、よりスピーディに、そしてより価値のあるサービスの提供を行い、サステナブルな地域社会・経済の実現に貢献していきましょう。

さあ、新しい年のスタートです。
さぎんグループ全役職員の力を結集し、新たな時代に向けて挑戦する1年にしていきましょう。


以上