経営環境と当行の業績
金融経済環境
2023年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付け変更に伴い、経済が自律的に循環する環境が整う中、賃上げや経済社会活動正常化に向けた各種政策の効果もあり、個人消費や設備投資が持ち直しの動きとなりました。
当行の主要基盤である北部九州の経済につきましても、一部で原材料価格の上昇を起因とした物価上昇の影響がみられるものの、個人消費や雇用が増加基調にあり、景気の持ち直しが続いております。
金融業界につきましては、日銀金融政策決定会合においてマイナス金利政策解除が決定される等、「金利のある世界」に向けた一歩を踏み出そうとしています。
かかる金融経済環境の中、日米欧の金融政策や急速な円安による為替の動向等が与える影響については、これまで以上に注視していくことが重要であると考えます。
2023年度の業績等
このような経済情勢の中で、グループ役職員一同総力をあげて業績の一層の進展と経営の効率化に努めて参りました。
当事業年度の業績は次のとおりです。
預金、貸出金等
2024年3月末の財政状態につきましては、預金残高が前期末比1,604億円増加し2兆9,440億円、貸出金残高が前期末比122億円増加し2兆2,012億円、有価証券残高が前期末比70億円減少し6,974億円となりました。
なお、自己資本比率(国内基準)は、前期末と比べて利益の積み上げ等により着実に自己資本が増加した一方で、貸出金残高の増加等に伴いリスクアセットが増加したことから、前期末比0.12ポイント減少し7.56%となりました。
不良債権(金融再生法開示債権)比率は、2023年3月末の2.05%が2024年3月末には1.94%となりました。
損益状況
経常収益は、貸出金利息や有価証券利息配当金の増加を主因として資金運用収益が16億89百万円増加したことや、役務取引等収益が3億33百万円増加したこと、また、有価証券のポートフォリオ再構築に伴う株式等売却益の増加によりその他経常収益が22億7百万
円増加したこと等から、前期比54億6百万円増加し451億90百万円となりました。
経常費用につきましては、上記ポートフォリオ再構築による国債等債券売却損の増加等によりその他業務費用が39億25百万円増加したことや、外貨調達コストの増加を主因として資金調達費用が8億4百万円増加したこと等から、前期比54億24百万円増加し380億81百万円となりました。
この結果、経常利益につきましては、前期比18百万円減少し71億9百万円となりました。また、当期純利益につきましては、前期比4億90百万円増加し60億71百万円となりました。
経営環境と当行の業績
業務純益
銀行の業務の基本となる部分の成果を示す銀行独特の利益指標です。業務純益は預金、貸出金、有価証券などの運用・調達から生まれる「資金利益」、各種手数料などの収支を示す「役務取引等利益」、債券や外国為替などの売買損益を示す「その他業務利益」の3項目を合計した額から「経費」と「一般貸倒引当金繰入額」を控除したものです。
コア業務純益
一般貸倒引当金繰入前、債券5勘定尻調整後の業務純益で、銀行の利益をあげる底力にかかわる部分です。
当行グループの業績
当行グループの2024年3月末の財政状態につきましては、預金残高が前期末比1,559億円増加し2兆9,381億円、貸出金残高が前期末比119億円増加し2兆1,924億円、有価証券残高が前期末比70億円減少し6,900億円となりました。
当行グループの経営成績につきまして、連結経常収益は、貸出金利息や有価証券利息配当金の増加を主因として資金運用収益が前期比17億70百万円増加したことや、役務取引等収益が3億65百万円増加したこと、また、有価証券のポートフォリオ再構築に伴う株式等売却益の増加によりその他経常収益が20億91百万円増加したこと等から、前期比53億38百万円増加し530億13百万円となりました。
連結経常費用は、上記ポートフォリオ再構築による国債等債券売却損の増加等によりその他業務費用が37億67百万円増加したことや、外貨調達コストの増加を主因として資金調達費用が8億7百万円増加したこと等から、前期比50億33百万円増加し454億42百万円となりました。
この結果、連結経常利益は前期比3億6百万円増加し75億71百万円となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比7億27百万円増加し62億18百万円となりました。
不良債権の状況
債権総額中に占める金融再生法開示債権(いわゆる不良債権)の比率は、2023年3月末の2.05%が2024年3月末には1.94%となりました。
なお、当行は部分直接償却を行っておりませんが、部分直接償却を行った場合のこの比率をみますと、2024年3月末で1.77%(2023年3月末では1.87%)となっております。
2023年3月末 | 2024年3月末 | 前年比 | |
金融再生法開示債権(A) | 457 | 435 | △22 |
部分直接償却相当額(B)(※) | 40 | 38 | △2 |
差引(C)=(A)-(B) | 416 | 396 | △20 |
債権総額(含む正常債権)(D) | 22,269 | 22,429 | 160 |
(A)÷(D)×100 | 2.05% | 1.94% | △0.11ポイント |
(C)÷((D)-(B))×100 | 1.87% | 1.77% | △0.10ポイント |
自己資本比率
自己資本比率(国内基準)は、前期末と比べて利益の積み上げ等により着実に自己資本が増加した一方で、貸出金残高の増加等に伴いリスクアセットが増加したことから、前期末比0.12ポイント減少し7.56%となりました。